【最新】おすすめインシデント管理ツール10選を徹底比較!選び方のポイントも解説

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予期せぬシステム障害やサービス停止などの「インシデント」への迅速な対応は、ビジネスの継続に不可欠です。しかし、その重要性は理解しつつも「何から手をつければいいか分からない」「最適なツールが選べない」とお悩みではないでしょうか。本記事では、インシデント管理の目的やITILに基づくプロセスといった基礎知識から、管理を成功させる実践的なコツまでをプロが徹底解説します。結論として、インシデント管理の成功はプロセスの標準化と適切なツールの活用が鍵となります。後半では、ツールの選び方から、ServiceNowやJira Service Managementなどのおすすめツール10選の比較まで、自社に最適な解決策を見つけるための情報を網羅しています。

目次

そもそもインシデント管理とは何か

インシデント管理とは、ITサービスの利用中に発生するシステム停止やパフォーマンス低下といった予期せぬ中断(インシデント)に対し、サービスを可能な限り迅速に正常な状態へ復旧させ、ビジネスへの影響を最小限に抑えるための一連のプロセスを指します。単なる「障害対応」や「トラブルシューティング」と混同されがちですが、インシデント管理はより体系的かつ組織的なアプローチです。

例えば、「社内システムにログインできない」「Webサイトの表示が極端に遅い」「メールが送受信できない」といった事象はすべてインシデントに該当します。これらの事象が発生した際に、その場しのぎの対応に終始するのではなく、定められた手順に沿って記録、対応、解決、報告までを一貫して管理することがインシデント管理の核心です。

インシデント管理の目的と重要性

インシデント管理の最大の目的は、サービスの迅速な復旧によるビジネスインパクトの最小化です。サービスが停止している時間は、企業の売上減少や生産性の低下、顧客からの信頼失墜に直結します。インシデント管理を適切に行うことで、ダウンタイムを短縮し、事業の継続性を確保します。

また、副次的な目的として以下の点が挙げられます。

  • ITサービス品質の維持・向上
  • インシデントに関する情報の収集と可視化
  • 対応プロセスの標準化による属人化の防止と効率化
  • ユーザーおよび顧客満足度の向上
  • 将来のインシデント発生を予防するためのデータ提供(問題管理への連携)

現代のビジネスはITサービスなしには成り立ちません。そのため、インシデント管理は、安定した事業運営を支える上で極めて重要な役割を担っているのです。

インシデント管理と問題管理の違い

インシデント管理と非常によく似た言葉に「問題管理」があります。この二つは密接に関連していますが、その目的とアプローチは明確に異なります。インシデント管理が「発生した事象への迅速な対処(応急処置)」を目的とするのに対し、問題管理は「インシデントの根本原因を特定し、恒久的な解決策を見つけること」を目的とします。

例えるなら、インシデント管理は「火事を消す活動」、問題管理は「火事の根本原因を調査し、再発を防ぐ活動」と言えるでしょう。両者の違いを以下の表にまとめました。

項目 インシデント管理 問題管理
目的 ITサービスを迅速に正常な状態へ復旧させる インシデントの根本原因を特定し、再発を防止する
主な活動 応急処置、回避策の提供、エスカレーション 原因調査、分析、傾向分析、恒久的な解決策の立案
緊急度 高い(即時対応が求められる) 比較的低い(計画的な対応が可能)
ゴール サービスの復旧(現状回復) 根本原因の排除(将来のインシデント予防)

インシデント管理でサービスを復旧させた後、同じインシデントが何度も再発するような場合には、問題管理のプロセスに移行し、根本的な原因解決を目指すのが一般的な流れです。

ITILにおけるインシデント管理の役割

ITIL(Information Technology Infrastructure Library)とは、ITサービスマネジメント(ITSM)における成功事例やベストプラクティスを体系的にまとめたフレームワークです。世界中の多くの企業が、IT運用の標準としてITILを参考にしています。

ITILにおいて、インシデント管理は「サービスオペレーション」というライフサイクルステージの中核をなすプロセスとして位置づけられています。サービスオペレーションは、合意されたレベルでITサービスをユーザーに提供し、管理することを目的としており、インシデント管理はその最前線で機能します。

ITILに準拠したインシデント管理を導入することで、個人の経験や勘に頼った属人的な対応から脱却し、組織として標準化された高品質な対応を実現できます。また、インシデント管理は、問題管理、変更管理、構成管理といった他のITILプロセスと密接に連携します。例えば、インシデントの記録は問題管理の分析データとなり、インシデント解決のためにシステムの変更が必要になれば変更管理プロセスへと引き継がれます。このように、ITILのフレームワーク内で各プロセスが連携することで、ITサービス全体の品質と効率が向上するのです。

インシデント管理の一般的なプロセスと流れ

ITIL インシデント管理プロセス 5ステップ 1 インシデントの検知と記録 ユーザー報告・アラート検知・チケットへの正確な記録 2 分類と優先度付け カテゴリ分類・緊急度と影響度による優先順位の決定 3 一次対応と調査 ナレッジベース検索・ログ確認・既知の問題の即時解決 4 エスカレーションと解決 専門チームへの引き継ぎ・根本原因の特定・解決策の適用 5 復旧とクローズ ユーザーへの復旧確認・合意・対応履歴の完全な記録

インシデント管理は、場当たり的に対応するものではなく、体系化されたプロセスに沿って進めることが極めて重要です。ここでは、国際的なITサービスマネジメントのベストプラクティス集である「ITIL(Information Technology Infrastructure Library)」で定義されている、標準的な5つのステップを紹介します。この流れを理解し、組織に定着させることが、迅速かつ効果的なインシデント対応の鍵となります。

ステップ1 インシデントの検知と記録

インシデント管理の最初のステップは、インシデントの発生を「検知」し、その内容を正確に「記録」することです。ここでの対応が、その後のプロセス全体の質を左右します。

インシデントの検知は、主に次のような経路で行われます。

  • ユーザーからの報告(電話、メール、チャット、申請フォームなど)
  • システム監視ツールからの自動アラート
  • サービスデスク担当者による発見

検知されたインシデントは、インシデント管理ツールを用いて「チケット」として起票し、一元管理します。記録漏れや情報の散逸は、対応の遅れや混乱を招く原因となります。どのような些細な事象であっても、すべてのインシデントを漏れなく記録することが、後の分析や再発防止に向けた貴重なデータとなります。

記録する際には、以下の情報を正確に残すことが重要です。

  • インシデントの発生日時
  • 報告者の氏名・部署・連絡先
  • インシデントの内容(どのような事象が起きているか)
  • 発生しているシステムやサービスの名称
  • エラーメッセージやスクリーンショットなどの詳細情報

ステップ2 分類と優先度付け

記録されたすべてのインシデントを、無秩序に対応することは非効率です。次のステップでは、インシデントを「分類」し、対応の「優先度」を決定します。

「分類」では、インシデントの内容に応じて、「ハードウェア障害」「ソフトウェアのバグ」「ネットワーク接続の問題」「アカウント関連の問い合わせ」といったカテゴリに分けます。これにより、適切な担当チームへ迅速に割り振ることが可能になり、専門外の担当者が時間を浪費することを防ぎます。

「優先度付け」は、限られたリソースを最も重要な問題に集中させるために不可欠です。一般的には、「緊急度(ビジネスへの影響が発生するまでの時間)」と「影響度(ビジネスに与える損害の大きさ)」の2つの軸を組み合わせたマトリクスを用いて、客観的に優先度を決定します。

緊急度:高
(即時対応が必要)
緊急度:中
(数時間以内に対応が必要)
緊急度:低
(1営業日以上の猶予)
影響度:高
(全部門・全顧客に影響)
最優先
影響度:中
(一部門・一部顧客に影響)
影響度:低
(個人・ごく少数に影響)

このプロセスにより、対応の順番が明確になり、担当者の主観による判断のばらつきをなくすことができます。

ステップ3 一次対応と調査

優先度に基づき、いよいよ具体的な対応を開始します。最初の窓口となるサービスデスクやヘルプデスクが「一次対応」と「調査」を行います。

一次対応の目的は、インシデントの迅速な解決です。担当者はまず、過去の類似インシデントの対応履歴や、FAQ、マニュアルといったナレッジベースを検索します。既知の問題で解決策が確立されている場合は、その手順に従って即座に対応し、インシデントをクローズします。

ナレッジベースに解決策が見つからない場合は、より詳細な「調査」に進みます。ユーザーへのヒアリング(具体的な操作手順や状況の再現など)、システムログの確認、診断ツールの実行などを通じて、問題の原因究明に必要な情報を収集します。ここでの目標は、あくまで一次対応チームで解決できる範囲を見極め、手に負えない場合は次のステップである「エスカレーション」をスムーズに行うための情報を整理することです。

ステップ4 エスカレーションと解決

一次対応で解決できない、またはより専門的な知識や権限が必要なインシデントは、専門チームへ「エスカレーション(引き継ぎ)」します。

エスカレーションには、主に2つの種類があります。

  • 機能的エスカレーション: ネットワークチーム、開発チーム、データベース管理者など、より高度な専門知識を持つ二次・三次対応チームへ技術的な対応を引き継ぎます。
  • 階層的エスカレーション: インシデントの影響が非常に大きい場合や、SLA(サービスレベル合意)で定められた時間を超過しそうな場合に、マネージャーや上位の役職者へ報告し、意思決定や追加リソースの投入を仰ぎます。

エスカレーションを受けた専門チームは、収集された情報を基に根本原因の特定と「解決」にあたります。解決策には、プログラムの修正や設定変更といった恒久的な対策のほか、サービスを暫定的に復旧させるための回避策(ワークアラウンド)の実施も含まれます。解決策を適用した後は、問題が完全に解消され、他の部分に新たな問題を引き起こしていないかを十分にテスト・確認することが不可欠です。

ステップ5 復旧とクローズ

解決策が適用され、システムやサービスが正常な状態に戻ったら、インシデント管理プロセスの最終段階に入ります。

まず、インシデントを報告したユーザーに連絡を取り、問題が解決してサービスが「復旧」したことを確認してもらいます。ユーザーからの「解決した」という合意を得て、初めてインシデントは終結に向かいます。

ユーザーの合意後、インシデントチケットを「クローズ」します。この際、単にチケットを閉じるだけでは不十分です。最終的な原因、実施した解決策、対応にかかった時間などの詳細な情報をチケットに追記し、対応履歴を完成させることが極めて重要です。 この正確な記録がナレッジベースとして蓄積され、将来発生するであろう類似インシデントの解決時間を大幅に短縮するための、組織にとっての貴重な資産となります。また、この記録は、後の「問題管理」プロセスにおける根本原因の分析や、再発防止策の策定にも活用されます。

インシデント管理ツールの選び方 5つの重要ポイント

インシデント管理ツール選定 5つの重要ポイント 自社に最適な ツール選定 1. 必要な機能 自社の運用に 合致しているか 2. 操作性・UI 直感的で 使いやすいか 3. システム連携 既存ツールと つながるか 4. サポート体制 日本語対応と 導入実績 5. コスト 料金体系と 費用対効果

インシデント管理ツールは、今やITサービスを安定的に提供する上で不可欠な存在です。しかし、市場には多種多様なツールが存在し、自社に最適なものを選ぶのは容易ではありません。ここでは、ツールの選定で失敗しないために押さえておくべき5つの重要なポイントを、プロの視点から詳しく解説します。

ポイント1 必要な機能が揃っているか

まず最も重要なのは、自社のインシデント管理プロセスを遂行するために必要な機能が網羅されているかを確認することです。多機能であれば良いというわけではなく、自社の規模や成熟度、運用フローに合致した機能が過不足なく備わっているかを見極める必要があります。最低限、以下の基本機能はチェックしておきましょう。

機能カテゴリ 主な機能 重要性
受付・記録 チケット管理、起票フォームのカスタマイズ 発生したインシデントを漏れなく一元管理するための基本機能です。誰が、いつ、どのようなインシデントを報告したかを正確に記録します。
管理・可視化 ステータス管理、担当者割り当て、ダッシュボード 各インシデントの進捗状況(新規、対応中、解決済みなど)をリアルタイムで可視化し、対応の遅延や漏れを防ぎます。
コミュニケーション コメント機能、通知(メール、チャット連携) 担当者間の情報共有を円滑にし、迅速なエスカレーションや解決をサポートします。関係者への進捗報告も効率化できます。
分析・改善 レポート機能、SLA管理 対応時間や解決率などのデータを分析し、サービスレベルの評価やプロセスの改善点を見つけ出すために不可欠です。
ナレッジ蓄積 ナレッジベース(FAQ)構築機能 過去のインシデント対応履歴を知識として蓄積・共有することで、同様の問題が発生した際の解決時間を大幅に短縮できます。

さらに、企業の成長やプロセスの高度化に合わせて、ワークフローの自動化機能や資産管理機能、問題管理や変更管理といった他のITILプロセスと連携できる機能なども視野に入れると、より長期的な視点でツールを選定できます。

ポイント2 操作性とUIの分かりやすさ

インシデント管理ツールは、IT部門の担当者だけでなく、インシデントを報告する一般の従業員も利用する可能性があります。そのため、誰にとっても直感的で分かりやすい操作性(UI/UX)は、ツールの導入効果を左右する極めて重要な要素です。

どんなに高機能なツールでも、操作が複雑で使いこなせなければ意味がありません。特に、以下の点を確認しましょう。

  • 管理画面の見やすさ: ダッシュボードに必要な情報が整理されており、インシデントの全体像や優先順位が一目で把握できるか。
  • チケット操作の容易さ: インシデントの起票、更新、クローズといった日常的な操作が、数クリックの簡単な手順で完了できるか。
  • 報告者側の使いやすさ: ITに詳しくない従業員でも、迷わずにインシデントを報告できるシンプルな入力フォームになっているか。
  • モバイル対応: スマートフォンやタブレットからも、場所を選ばずにインシデントの確認や更新ができるか。

多くのツールでは無料トライアル期間やデモが提供されています。導入を決定する前に、必ず複数の担当者で実際にツールを触り、日々の業務をシミュレーションして操作性を評価することをおすすめします。

ポイント3 既存システムとの連携性

インシデント管理を効率化するためには、ツールを単体で利用するのではなく、社内で利用している他のシステムと連携させることが鍵となります。データがサイロ化(分断)するのを防ぎ、ワークフローを自動化することで、対応速度と正確性を飛躍的に向上させることができます。

特に、以下のようなシステムとの連携は重要です。

連携対象システム 連携によるメリット
チャットツール(Slack, Microsoft Teamsなど) インシデントの発生や更新をリアルタイムで通知し、迅速な初動対応を可能にします。チャット上からチケットを起票できる機能も便利です。
監視ツール(Zabbix, Datadogなど) システム異常を検知した際に、自動でインシデント管理ツールにチケットを起票。人手を介さずにインシデントを検知・記録できます。
バージョン管理システム(Gitなど) インシデントの原因となったコードの変更履歴を特定しやすくなり、原因調査の時間を短縮できます。
認証基盤(Active Directory, Oktaなど) シングルサインオン(SSO)に対応することで、ユーザーのログイン・ログアウトの手間を省き、セキュリティを強化します。

ツールの選定時には、標準でどのようなアプリケーションと連携できるかを確認しましょう。また、標準連携がない場合でも、API(Application Programming Interface)が公開されていれば、独自に連携システムを開発することも可能です。将来的な拡張性も考慮し、APIの柔軟性やドキュメントの充実度もチェックしておくと良いでしょう。

ポイント4 サポート体制と導入実績

ツール導入後に問題が発生した際や、より高度な活用方法について相談したい場合に、ベンダーのサポート体制が充実しているかは安心感に直結します。特に海外製のツールを検討する場合は、日本語によるサポートが受けられるか、また日本の営業時間内に対応してもらえるかは必ず確認すべきポイントです。

確認すべきサポート体制の項目は以下の通りです。

  • サポート窓口: メール、電話、チャットなど、どのような問い合わせ方法があるか。
  • 対応時間: 24時間365日対応か、平日日中のみか。
  • 日本語対応: ドキュメントやマニュアルだけでなく、問い合わせも日本語で可能か。
  • 導入支援: ツールの初期設定や運用プロセスの構築を支援してくれるオンボーディングサービスの有無。

また、ツールの信頼性を測る指標として「導入実績」も重要です。特に、自社と同じ業界や企業規模での導入事例が豊富にあれば、そのツールが自社の課題解決に貢献できる可能性が高いと判断できます。公式サイトの導入事例やレビューサイト、ユーザーコミュニティなどを参考に、客観的な評価を確認しましょう。

ポイント5 コストと料金体系

ツールの導入には当然コストがかかります。しかし、単純な価格の安さだけで選ぶのは危険です。自社の予算内で、必要な機能とサポートがバランス良く提供されているか、つまりコストパフォーマンスを見極めることが重要です。

料金体系はツールによって様々で、主に以下のようなパターンがあります。

  • ユーザー数課金: ツールを利用するエージェント(担当者)の数に応じて料金が決まる最も一般的なプラン。
  • 機能別プラン: 提供される機能の範囲によって複数のプラン(例: Basic, Pro, Enterprise)が用意されている。
  • チケット数課金: 月間に処理するチケット数に応じて料金が変動するプラン。

選定時には、初期費用と月額(または年額)のライセンス費用だけでなく、オプション機能の追加費用や、導入コンサルティング費用なども含めた総所有コスト(TCO)を算出しましょう。また、将来的に利用ユーザー数や必要な機能が増えることを見越して、プランをアップグレードした際の料金も確認しておくと、長期的な予算計画が立てやすくなります。

【徹底比較】おすすめインシデント管理ツール10選

インシデント管理の重要性をご理解いただいたところで、ここでは具体的なツール選定に役立つ情報をお届けします。数多くのインシデント管理ツールの中から、企業の規模や目的に合わせて最適なものを選べるよう、厳選した10個のツールを「多機能・大規模向け」「中小企業向け」「特定用途向け」の3つのカテゴリに分けて徹底解説します。まずは、今回ご紹介するツールの一覧と比較表をご覧ください。

インシデント管理ツール10選 比較一覧表
ツール名 主な特徴 おすすめの企業規模 ITIL準拠
ServiceNow ITSMのデファクトスタンダード。プラットフォームとして高い拡張性を持つ。 中規模〜大企業 準拠
Jira Service Management 開発ツールJiraとの連携が強力。DevOpsとの親和性が高い。 小規模〜大企業 準拠
Zendesk 優れたUI/UX。カスタマーサポートの知見を活かしたITSM機能。 小規模〜大企業 準拠
Freshservice AI機能を活用した業務自動化。コストパフォーマンスが高い。 中小企業〜中規模 準拠
Backlog 国産のプロジェクト管理ツール。シンプルで非IT部門でも使いやすい。 小規模〜中規模 非準拠(応用可能)
Redmine オープンソースで無料。プラグインによる高いカスタマイズ性。 小規模〜大企業(技術力要) 非準拠(応用可能)
SHERPA SUITE 国産のITSMツール。日本企業の商習慣に合わせた機能と手厚いサポート。 中小企業〜大企業 準拠
PagerDuty アラート通知とオンコール管理に特化。インシデント対応を自動化。 小規模〜大企業 補完ツール
Opsgenie Atlassian製のインシデント対応ツール。Jiraとの連携に強み。 小規模〜大企業 補完ツール
Asana プロジェクト管理ツール。タスクとしてインシデントを可視化・管理。 小規模〜中規模 非準拠(応用可能)

多機能で大規模向けのおすすめツール3選

はじめに、ITILに準拠した本格的なインシデント管理を全社規模で展開したい企業や、複雑なIT環境を持つ組織におすすめのツールを3つご紹介します。これらのツールは機能が豊富なだけでなく、カスタマイズ性や拡張性にも優れています。

ServiceNow

ServiceNowは、ITサービスマネジメント(ITSM)の分野で世界的に高いシェアを誇るプラットフォームです。単なるインシデント管理ツールにとどまらず、問題管理、変更管理、構成管理など、ITILの主要なプロセスを網羅的にサポートします。複数の部門やシステムにまたがる複雑なワークフローを自動化し、IT運用全体の可視化と標準化を実現したい大企業に最適なソリューションです。

豊富な機能と高いカスタマイズ性を持つ一方で、導入や運用には専門的な知識が必要となり、コストも比較的高額になる傾向があります。しかし、その投資に見合うだけの強力なガバナンスと業務効率化が期待できるでしょう。

Jira Service Management

Jira Service Managementは、アトラシアン社が提供するサービスマネジメントツールです。最大の特長は、多くの開発現場で利用されているプロジェクト管理ツール「Jira Software」とのシームレスな連携にあります。インシデントの根本原因がソフトウェアのバグである場合などに、サービスデスク部門と開発部門が同じプラットフォーム上で情報を共有し、迅速に問題解決に取り組むことができます。DevOpsを推進している企業にとって、非常に親和性の高いツールと言えるでしょう。

ITIL認定のプロセスに対応しており、インシデント管理はもちろん、サービス要求管理や変更管理機能も備えています。比較的手頃な価格から始められるため、スタートアップから大企業まで幅広い層に支持されています。

Zendesk

Zendeskは、元々カスタマーサポートツールとして世界的に有名なサービスですが、社内IT向けのサービスデスク(ITSM)ソリューションも提供しています。長年培ってきた顧客対応のノウハウが活かされており、誰にとっても直感的で分かりやすいインターフェースが最大の魅力です。従業員がストレスなく問い合わせやインシデント報告を行えるため、従業員体験(EX)の向上にも繋がります。

豊富なアプリマーケットプレイスを通じて様々な外部システムと連携できる点も強みです。インシデント管理の効率化だけでなく、サービスデスク利用者の満足度も重視したい企業におすすめです。

中小企業にもおすすめのツール4選

次に、コストを抑えつつ、スピーディにインシデント管理を導入したい中小企業や、特定の部門で手軽に始めたいチームにおすすめのツールを4つご紹介します。使いやすさやコストパフォーマンスに優れたツールが揃っています。

Freshservice

Freshserviceは、Freshworks社が提供するクラウドベースのITSMツールです。ITILに準拠した本格的な機能を備えながら、直感的なUIとリーズナブルな価格設定で人気を集めています。特に、AI(人工知能)を活用したチャットボットによる自動応答や、類似インシデントの自動提案など、サービスデスクの業務を効率化する機能が充実しています。

導入が容易で、特別な知識がなくても使い始められるため、専任のIT管理者が少ない中小企業でも安心して利用できます。コストパフォーマンスを重視しつつ、最新技術でインシデント管理を高度化したい企業に最適です。

Backlog

Backlog(バックログ)は、株式会社ヌーラボが開発・提供する国産のプロジェクト管理・タスク管理ツールです。厳密なITSMツールではありませんが、そのシンプルさと使いやすさから、多くの企業でインシデント管理に応用されています。インシデントを「課題」や「タスク」として登録し、担当者や期限、状態を管理することで、IT部門だけでなく関連部署のメンバーも巻き込んだ情報共有と進捗管理が容易になります。

特に、エンジニアやデザイナーなど、非IT職のメンバーにも親しみやすいUIが特長です。まずはチーム単位で手軽にインシデントの見える化を始めたい場合に最適な選択肢の一つです。

Redmine

Redmine(レッドマイン)は、オープンソースのプロジェクト管理ソフトウェアです。ライセンス費用が無料であるため、コストをかけずにインシデント管理(チケット管理システム)を構築したい企業に長年利用されています。オープンソースであるため、自社のサーバーにインストールして運用する必要がありますが、豊富なプラグインを組み合わせることで、自社の業務プロセスに合わせて柔軟に機能を拡張できるのが大きなメリットです。

ただし、導入やメンテナンスにはサーバーやネットワークに関する技術的な知識が求められます。技術力のある情報システム部門を持つ企業や、自由にカスタマイズしたい場合に適しています。

SHERPA SUITE

SHERPA SUITE(シェルパスイート)は、国産のITサービスマネジメントツールです。ITILに準拠したプロセス管理が可能で、インシデント管理から構成管理、リリース管理まで幅広く対応します。最大の強みは、日本企業の商習慣や文化を深く理解した機能設計と、手厚い日本語の導入・運用サポート体制です。

海外製ツールでは対応が難しい細かな要望に応えてくれる点や、日本語のドキュメントが充実している点も安心材料です。海外製ツールに不安を感じる企業や、国内ベンダーによるきめ細やかなサポートを重視する企業におすすめです。

特定用途に強いおすすめツール3選

最後に、特定の機能に特化し、既存のインシデント管理プロセスを強化・補完する役割を担うツールを3つご紹介します。特に、システムの安定稼働がビジネスに直結する企業にとって、強力な武器となります。

PagerDuty

PagerDutyは、インシデント対応の自動化プラットフォームです。様々な監視ツール(例: Datadog, New Relic)からのアラートを一元的に集約し、あらかじめ設定したルールに基づいて適切な担当者(オンコール担当者)へ電話、SMS、プッシュ通知など多様な手段で確実に通知します。担当者が応答しない場合は、自動的に次の担当者へエスカレーションする機能も備えています。

これにより、重大なシステム障害の検知から担当者の招集までの時間を劇的に短縮し、迅速な復旧作業を可能にします。24時間365日のサービス提供が求められるWebサービス事業者やSaaSベンダーにとって、必須とも言えるツールです。

Opsgenie

Opsgenieは、アトラシアン社が提供するインシデント対応・アラート管理ツールで、PagerDutyの有力な競合製品です。機能的にはPagerDutyと類似しており、アラートの集約、オンコール担当者のスケジューリング、自動エスカレーションなどを得意とします。Opsgenieの強みは、Jira Service ManagementやJira Softwareといった他のアトラシアン製品との親和性の高さにあります。

アラートからJiraの課題を自動で起票したり、インシデント対応の状況をJira上で一元管理したりと、シームレスな連携が可能です。すでにアトラシアン製品を中心に業務プロセスを構築している企業には、最適な選択肢となるでしょう。

Asana

Asanaは、チームの仕事の計画から整理、管理までを行えるワークマネジメントツールです。Backlogと同様、本格的なITSMツールではありませんが、その視覚的で直感的なインターフェースを活用してインシデント管理を行うことができます。例えば、「インシデント報告」というプロジェクトを作成し、報告されたインシデントをタスクとして登録し、カンバンボード形式で「未対応」「対応中」「完了」といったステータスを管理する、といった使い方が可能です。

ITILのような厳密なプロセスは不要で、まずはチーム内で発生したインシデントや依頼事項を「見える化」し、対応漏れを防ぐことから始めたい、という場合に非常に手軽で有効なツールです。

インシデント管理を成功させるためのコツ

インシデント管理成功の3つの重要ポイント SLAの明確化 ● 共通認識の形成 「いつまでに」「どのレベル」 で対応するかを合意 ● 優先順位の基準 迷いなく重要度の高い 案件から着手可能に ● 期待値の調整 プロセスの標準化 ● 脱属人化 担当者のスキルに依存せず 一定の品質を維持 ● 手順の文書化 抜け漏れや遅延を防ぎ スムーズな対応を実現 ● 教育コスト削減 ナレッジの蓄積 ● 迅速な問題解決 過去の事例を参照し 調査時間を大幅短縮 ● 組織の資産化 ノウハウを共有し 組織全体の能力を底上げ ● 自己解決の促進 ITサービス品質の継続的向上

インシデント管理ツールを導入し、プロセスを定義しただけでは、インシデント管理は成功しません。ここでは、その効果を最大化し、組織のITサービス品質を継続的に向上させるための3つの重要なコツを、プロの視点から詳しく解説します。

SLA(サービスレベル合意)を明確に定義する

インシデント管理を成功に導くための第一歩は、SLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意)を明確に定義することです。SLAとは、ITサービスの提供者と利用者の間で、サービスの品質レベルについて結ぶ合意を指します。これにより、「どのインシデントに」「いつまでに」「どのレベルまで対応するか」という共通認識を形成し、対応の優先順位付けや評価の客観的な基準を設けることができます。

SLAが曖昧なままでは、担当者はどのインシデントから手をつけるべきか判断に迷い、利用者は「なぜ対応してくれないのか」と不満を抱く原因となります。SLAは単なる目標設定ではなく、関係者間の期待値を調整し、対応の質を担保するための重要な契約であると認識しましょう。

SLAで定義すべき主要な指標

インシデント管理におけるSLAでは、主に以下の指標を、インシデントの重要度や緊急度に応じて設定します。

指標内容設定例(高優先度インシデントの場合)
目標応答時間(Response Time)インシデントの発生を検知・記録してから、担当者が一次対応を開始するまでの目標時間。15分以内
目標解決時間(Resolution Time)インシデントが発生してから、サービスが完全に復旧し、解決するまでの目標時間。1時間以内
可用性(Availability)システムやサービスが正常に稼働している時間の割合。サービスの信頼性を示す指標。99.9%以上

これらの指標を具体的に定めることで、チームは目標達成に向けたアクションを取りやすくなり、サービスの品質を定量的に測定・改善していくことが可能になります。

対応プロセスの標準化と文書化を進める

インシデント管理の品質と速度は、個々の担当者のスキルや経験に依存すべきではありません。担当者によって対応の質やスピードに差が出てしまう「属人化」を防ぎ、組織全体として安定したサービスレベルを維持するために、対応プロセスの標準化と文書化が不可欠です。

プロセスが標準化されていれば、誰が対応しても一定の品質が保たれ、対応の抜け漏れや遅延を防ぐことができます。また、手順が文書(マニュアルやワークフロー図)として可視化されていれば、新任の担当者でも迅速に業務を習得でき、教育コストの削減にも繋がります。

標準化・文書化すべき項目

    • インシデントの報告手順: 誰が、いつ、どのような情報を、どのツールを使って報告するかのルール。
    • 分類と優先度付けの基準: ビジネスへの影響度と緊急度を基に、優先度を決定するための明確な基準(マトリクスなど)。
    • エスカレーションルール: 一次対応で解決できない場合に、いつ、誰に、どのような情報と共に引き継ぐかの手順。二次、三次対応の担当者を明確に定義します。

*コミュニケーションプラン: 発生、調査中、復旧見込み、解決といった各フェーズで、誰に(経営層、利用者、関係部署など)、何を、どの手段で報告するかの計画。

  • クローズの定義: どのような状態になったらインシデントを「クローズ(完了)」と見なすかの条件。利用者への最終報告や確認手順も含みます。

これらのプロセスを定期的に見直し、実際の運用に合わせて改善を繰り返していくことで、より洗練されたインシデント管理体制を構築できます。

ナレッジベースを構築し情報を蓄積する

インシデント対応は、その場しのぎで終わらせてはなりません。一つひとつの対応で得た知見やノウハウを組織の資産として蓄積し、未来のインシデント対応に活かす仕組みが重要です。その中核となるのが「ナレッジベース」の構築と運用です。

ナレッジベースとは、過去のインシデントの対応履歴、原因、解決策、よくある質問(FAQ)、設定マニュアルなどを一元的に集約した情報データベースのことです。これにより、類似のインシデントが発生した際に、過去の事例を参考にすることで、原因特定や解決までの時間を大幅に短縮できます。

ナレッジベース活用のメリットと運用のコツ

優れたナレッジベースは、単なる情報置き場ではありません。組織の課題解決能力を底上げする強力な武器となります。

  • 迅速な問題解決: 担当者は過去の解決策を検索・参照することで、ゼロから調査する必要がなくなり、迅速に対応を完了できます。
  • 属人化の解消と教育: ベテラン担当者の暗黙知を形式知化し、組織全体で共有できます。新任担当者にとっては、自己学習のための優れた教材にもなります。
  • 利用者の自己解決促進: FAQとしてナレッジを公開することで、利用者が問い合わせをする前に自身で問題を解決できるようになり、サポートデスクの負荷を軽減します。
  • 問題管理への貢献: 蓄積されたインシデントデータを分析することで、頻発するインシデントの根本原因を特定し、恒久的な対策を講じる「問題管理」へと繋げることができます。

ナレッジベースを形骸化させないためには、インシデントのクローズ時に対応履歴や解決策をナレッジとして登録するプロセスをルール化することが重要です。また、情報が古くならないよう定期的に内容をレビューし、常に最新の状態に保つ努力が求められます。

まとめ

本記事では、インシデント管理の基礎知識から具体的なプロセス、そして成功のコツまでを網羅的に解説しました。インシデント管理とは、システム障害などの予期せぬ事態からサービスを迅速に復旧させ、ビジネスへの影響を最小限に食い止めるための極めて重要な活動です。その目的を達成するためには、ITILに準拠したプロセスを理解し、組織内で標準化することが第一歩となります。

また、効率的な管理体制の構築には、インシデント管理ツールが欠かせません。ツール選定で失敗しないためには、本記事で解説した「必要な機能」「操作性」「連携性」「サポート体制」「コスト」という5つのポイントを基に、ServiceNowやBacklogといった製品を自社の規模や課題に合わせて比較検討することが成功への近道です。

効果的なインシデント管理は、単なる事後対応ではなく、サービスの品質と顧客満足度を向上させるための投資です。この記事で得た知識を活かし、自社に最適な管理体制の構築を進めていきましょう。

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この記事を書いた人

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【最終更新日】2025年12月8日

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